中堅化学メーカーの研究開発を経験し、営業部門に所属しているぴすけっち@chemistpisketchです。
就職活動において、まずは自分の軸を見つけなさいと言われるけど、志望業界を絞り混むのは難しい!って方も多いのでは?
そういう方には、まず総合化学メーカーを受けてみることをオススメします。
何でも挑戦したい!大手で働きたい!という方にオススメ!
特定の分野でなく、何でも挑戦したいです!と言う学生を高評価する企業も多く存在します。もちろん研究分野以外に配属される可能性もありますが、色々なフィールドで活躍できます。
新しいことに挑戦がしたいのであれば総合化学メーカーにエントリーしてみましょう! 志望動機としても、何でも経験したい、恐れず新しいことへ挑戦したい、等を中心にプラスアルファ乗せられると良いですね。
今回は日本を代表する4社を紹介します。
総合化学メーカーとは
川中の誘導メーカーや川下の電子材料メーカーと違い、最も川上側から川下まで一貫生産を行います。基礎原料を持っていることが特徴です。
総合化学メーカーは一般的に基礎原料から川中、川下の各種製品までの一貫生産を行う企業のことを指す。エチレンセンターを保有する企業に限定して呼ぶ場合もある(以下略)
化学メーカー – Wikipedia
総合化学4社の比較: 三菱ケミカル・三井化学・住友化学・旭化成
三菱ケミカルホールディングス株式会社は三菱ケミカルの他に、ガス事業大手の日本酸素ホールディンスグループ・田辺三菱製薬をグループに有する超巨大企業です。
傘下の三菱ケミカル(株)と住友化学(株)・旭化成(株)がおおよそ同じ規模のイメージで良いかと思います。
収益性だけをみると、旭化成が最も優秀です。優良企業ぞろいのイメージのあるこれらの会社ですが、石油化学部門を有し、素材の売り上げ比率が高いため、利益率としては化学企業の中でも飛びぬけている、という水準ではありません。
とんでもない利益水準ではないですが、力のある企業ばかり!
総合化学メーカーと誘導品化学メーカー・電子材料メーカーの規模の比較
今回紹介する総合化学メーカーと、Wikipediaに掲載のある川中の誘導メーカーや川下の電子材料メーカーの規模と比較をしてみましょう。
これらも日本でも有数の化学メーカー群ですが、総合化学メーカーと呼ばれる企業群の方が従業員数や売上といった項目で上回っている傾向にあります。
信越化学工業も会社規模や事業領域を考慮すると、総合化学と言って良いという意見も見受けられます。
詳しくは下記の記事で比較しています。
川中化学メーカー5社の比較記事
信越化学工業、三菱ガス化学、JSR、ダイセル、日本ゼオン
電子材料メーカー5社の比較記事
富士フイルム・日東電工・旧日立化成・住友ベークライト・東京応化工業
企業規模は東レも今回紹介した総合化学メーカーに近いです。
三菱ケミカルHD・三菱ケミカル(株)の事業領域
三菱ケミカルホールディングス 全体でみると下記の規模です。産業ガスの利益貢献が大変大きいことを考えると、他3社と比較し、三菱ケミカル単体の利益率としては抑えめであることが予測されます。
旧三菱化学、三菱レーヨン、三菱樹脂といったそれぞれ大きな事業規模を有するメーカーが統合しており、様々な事業分野を有します。
フォーカス市場はモビリティ、ITエレクトロニクス・ディスプレイ、メディカル・フード・バイオ、環境・エネルギー、パッケージング・ラベル・フィルムの領域です。
機能商品・ケミカルズといった分野で実施している事項としては、モビリティ用途で軽量化部材や環境対応材料、エレクトロニクス関連でディスプレイ・半導体関連、環境・エネルギーで電池材料などが挙げられます。
とにかく広い事業領域、こんな化学事業ある?と思ったものはほとんど出来そうなラインナップ!超巨大企業!
三菱ケミカルに関して詳しく知りたい方はこちら
住友化学(株)の事業領域
住友化学株式会社 は石油化学部門の売り上げが30%を占めますが、他の総合化学メーカーと同様に利益としては他部門がメインとなります。利益の稼ぎ頭は医薬品事業。次いで情報電子化学部門が続きます。エネルギー・機能材料はスーパーエンプラやアルミナ・アルミニウム・電池部材など、情報電子化学は半導体関連などの電子材料、健康・農業関連では農薬・医薬原薬/中間体を扱っています。
医薬と情報電子化学が利益貢献!
住友化学について詳しく知りたい方はこちら
情報電子化学部門に属するフォトレジスト材料は下記の記事で他社と比較して紹介しております。
旭化成の事業領域
化学系の方の配属先としては建材以外に可能性は低そうではありますが、旭化成株式会社が特徴的なのは住宅事業を有するという点です。ヘーベルハウスが有名ですね。こちらはグループ会社で事業運営を担っています。
マテリアル部門は旭化成本体で実施しており、基盤マテリアル事業、パフォーマンスプロダクツ事業、スペシャリティソリューション事業の三つに分かれています。
それぞれ、7~10%程度の営業利益は計上しており、バランスよく利益に貢献しているといえます。有名なサランラップはパフォーマンスプロダクツ事業に属しています。
基盤マテリアル事業は基礎化学品や石油化学、パフォーマンスプロダクツは繊維や樹脂・ゴムなど、スペシャリティソリューションはリチウムイオン電池向けのセパレータ・ドライフィルムなどの電子材料、添加剤など、高付加価値の製品を販売しています。
住宅が特徴的!素材もしっかり利益貢献!
旭化成社の企業研究はこちらでも紹介しています。
三井化学の事業領域
三井化学株式会社に関しては、売り上げに占める基盤素材、石油化学品の割合が高いですが、2019年度最も利益貢献したのはモビリティ部門、エラストマー・機能性コンパウンド・機能性ポリマーの分野でした。
PPコンパウンドは三井化学が高いシェアを有する樹脂であり、バンパーやインパネ、ピラーと呼ばれる窓の柱に採用されています。2020年度はコロナの影響で大きく自動車市場は縮小しましたが、2021年度以降は回復が予測されています。
ヘルスケア事業では420nmの紫外線もカットするメガネレンズ用材料やおむつ用の不織布、歯科材料を開発・事業家しています。
食品包装材の用途ではコモディティー化しているかとおもいきや、高機能な特殊包装フィルム・接着材料・コーティング材で収益を上げているようです。
モビリティ―が利益貢献!モビリティ―はコロナの影響大ですが、今後に期待!
総合化学メーカーの比較まとめ
以上になります。
- 総合化学メーカーとはエチレンプラントをもち、上流から下流を指す場合が多い
- 総合化学メーカーは中流・下流の化学メーカーと比較しても会社規模が大きく、日本有数の化学メーカー群となる
- 事業内容は特徴的なものもあるが、非常に近しい領域・どの会社も実施している領域は多い
旭化成の住宅、三井化学のモビリティといった特徴もありつつも、それぞれのメーカーが非常に広範囲な事業領域を有していることがお分かりいただけたと思います。
とにかく化学企業に勤めたい、広い事業分野で様々な仕事に挑戦してみたい方は志望してみては!
総合化学メーカーはインターンシップを開催している企業が多いですので、生の情報が得たい方にはオススメです。
その他就活・転職共通記事
また、川中・川下のメーカーとも比較してみてはいかがでしょうか。
川中化学メーカー5社の比較記事
信越化学工業、三菱ガス化学、JSR、ダイセル、日本ゼオン
電子材料メーカー5社の比較記事
富士フィルム・日東電工・旧日立化成・住友ベークライト・東京応化工業
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