東レの企業研究|2兆円規模の繊維・素材メーカー【化学系就活・転職】

中堅化学メーカーの研究開発を経験し、営業部門に所属しているぴすけっち@chemistpisketchです。

東レは単体7,568名、連結48,031人、2019年度の売上高は2兆2,146万円、1,312億円という繊維業界No.1メーカーです。

繊維以外にも炭素繊維や素材分野に加え、他分野の会社も持つ超大手メーカーです。

繊維メーカーとしてみても日本一の企業であり、化学メーカーとして考えても大手メーカーの位置づけとなります。

東レの売上・事業構成

2017年度より事業再編により、プラスチックケミカルと情報通信材料の領域が機能化成品に統合されています。統合により、繊維・機能化成品の日本柱に加え、炭素繊維を含めて営業利益の90%近くとなっています。

製造業の利益率の平均は4%程度ですので、営業利益率は近年6~7%と優秀な部類です。別記事にて紹介した信越化学工業の20%代には及びませんが、総合化学メーカー4社の中と比較しても同程度～良好な部類でした。

ただし、2020年10月発行の統合報告書の段階では、2020年は営業利益1,000億円を下回る見通しとなっております。

東レの重点研究開発分野・投資分野

東レ社は2019年12月に未来創造研究センターという事業横断型の研究施設をオープンしています。

分断されていない研究・技術開発組織をアピールしており、多くの分野の専門家が集まり、技術の融合により新技術が生まれることを期待しているとのこと。

研究開発の重点分野としてグリーンイノベーションとライフイノベーションに切り分け、テーマを推進している状況です。これは、既存の事業領域に関しても切り分けられており、二つの基準で各事業の中で重点的に投資する領域を決定していると推察されます。

投資比率の中では具体的な数値はありませんが、両事業への投資比率は50%を超えているとのことです。

ベースとなるテクノロジーとして有機合成化学・バイオテクノロジー・ナノテクノロジー・高分子化学を挙げています。

バイオテクノロジー・ナノテクノロジーを強調するという点は、これまでの強みだった繊維・素材に加え、ライフイノベーション事業を会社の柱の一つとして成長させたい思いがあると推察しております。バイオツールや生体信号を収集できる生地を例として挙げられています。

東レの繊維事業: 日本一！

日本の繊維を起源とするメーカーは生き残りをかけ繊維以外の事業を展開し、ほぼ化学メーカーに生まれ変わる中、東レ社の繊維事業はユニクロのヒートテックの協業のように挑戦的な取り組みを続けています。東レ×ユニクロ | プロジェクト | 新卒採用情報 | 東レ (toray.co.jp)

東レにおいては繊維は成長産業と捉えており、需要は人口増加・新興国の中間所得層の消費拡大により年率3%で拡大していく見通しとのこと。テキスタイル事業。素材から縫製品一貫型事業の展開では世界一と推測しているそうです。

もし繊維事業に関わる研究に携わりたくて東レ社を志望したい理系学生の方は、説明会やOB訪問で配属状況を確認いただいた方が良いかもしれません。製品に近い分野は開発から営業に近いところまで広い範囲で経験できそうな事業領域ですね。

東レの機能性化成品事業: ≒巨大化学メーカー！

樹脂・フィルム・ケミカル製品・電子情報材料といった非常に広い領域を有している事業です。特にフィルムに加工する技術に関しては東レ社の強みがあるのではないでしょうか。ポリエステルフィルム・特殊有機溶剤では世界ナンバーワンとのこと。

私個人の認識では特にフィルム領域の事業が非常に強く、高品質な製品を提供しているメーカーと認識しています。その他にも、半導体周辺領域に使われる感光性のポリイミドといった電子材料分野、エンプラの事業と幅広いラインナップです。

機能化学品事業領域だけで8,000億円近い売上を有しており、この分野だけで記事が書けるくらい広い領域ですね。

樹脂関連ではPPSコンパウンドは世界シェアNo1.であり、モノマー・ポリマーからコンパウンドまで一貫メーカーです。これは世界唯一とのこと。

透明ABSも世界シェア37%とかなりの高シェアです。

フィルム事業はPETフィルムやバッテリーセパレータフィルムが事業の柱。

特にPETフィルムはドライフィルムソルダーレジスト(DFR)向けやMLCC(積層セラミックコンデンサ)を推進するとのこと。

DFRはスマホやPCの中にある基板の微細な配線(以前紹介したフォトレジストを適用したものよりは太い配線)を形成するのに必要な材料であり、今後成長が期待される分野です。

東レ社はDFRといった材料の「基材」と呼ばれるフィルムを販売しています。

電子材料においては前述のポリイミド等の半導体。電子部品分野とディスプレイを中心に展開しています。

有機ディスプレイ用途では、東レ社の感光性ポリイミドがRGB画素分離層・平坦化層材料として標準材となっているそうです。

炭素繊維事業: 東レは世界一の炭素繊維メーカー

東レは炭素繊維の世界ナンバーワンメーカーです。

航空機・や自動車・風力発電といった産業用途からテニスラケットのようなスポーツ用品まで適用されています。

2020年度の業績に関しては航空用途の影響をダイレクトに受けている状況と考えられますが、他用途への展開も力を入れているとのことです。

東レ､帝人｢航空機大不況｣でも暗くない理由(東洋経済)という記事によると、空飛ぶ車向けを開発しているドイツのリリウム社へ炭素繊維複合材料を供給する契約を締結しているとのこと。

理系出身の方の役割としては、新規の顧客に対して素材を紹介し、適用いただくための技術サポートの役割が期待されていると考えられますね。

東レへの就職/採用(新卒・転職)

新卒の場合

新卒採用の2022年度 MY PAGEからエントリーしましょう。

上記は説明会～採用と一定の時期に実施していることがほとんどです。

早期の場合はインターンの検討、二次募集移行はOfferBoxのようなオファー型の就職サイトも検討することになりますね。詳しくは下記でも解説しています。

インターンシップ参加体験談・志望動機【化学メーカー事例・理系就活】

理系もオファー型就活サイトは活用すべきか？化学メーカーの求人もある？

中途の場合

キャリア採用ページからエントリー可能です。

中途採用の求人表では具体的なポジションを提示するため非公開のことが多いです。

東レの場合希望の職種があり、面接の準備や条件交渉を自力でやる自信のある方には採用サイト経由での申し込みも良いですね。

転職エージェントを使用すれば、面接の準備や条件交渉を担当の方から手助けいただけるので、希望職種がない場合や自信のない方は選んでみては。

注意点として、研究開発部門やエンジニアの採用はポジションの空き次第です。

転職エージェントにも化学メーカーに強みのある会社からそうでもない会社があります。化学系の担当がいる大手か、専門性の高い転職エージェントが良いですね。

私が使った中では、JAC Recruitmentのエージェントの方々が化学業界への理解度が高くオススメできると思います。求人数多く、自分でもしっかり探したい方はリクルートエージェントやDODAといったエージェントも検討してみては。

転職エージェントに関しては下記でも詳細記載しています。

化学系おすすめ転職エージェント・サイト6選|研究開発経験者目線

東レの年収

有価証券報告書によると、2020年3月時点での東レの年収状況は下記の通りでした。

最後に

いかがでしたでしょうか。大企業ならではの幅広い事業展開がありましたね。

まとめです。

ぴすけっち@chemistpisketch

理系学生のための就活・インターンシップ情報サイト【理系ナビ】