中堅化学メーカーで研究開発を経験し、現在営業部門に所属するぴすけっち@chemistpisketchです。
今回は日本を代表する化学メーカーの一つ、旭化成の企業分析をご紹介します。
昨日まで世界になかったものを。というグループスローガンのもと、日々新しい価値を生み出している会社です。
グループ理念は、「私たち旭化成グループは、世界の人びとの”いのち”と”くらし”に貢献します。」です。
旭化成の売上は2兆円規模!
財閥化学と呼ばれる三社と比較してみても、売り上げは同等以上のレベルです。
従業員一人当たりの利益額は最も高く、営業利益率も8%台と非常に好調な業績でした。
(製造業の平均は4%)
連結子会社数211社、世界20か国・地域以上の拠点を有し、海外売上比率は40%です。
これは、住宅事業が国内中心という影響があるかもしれませんね。
特にマテリアル事業領域は海外顧客も非常に多いことが予想されます。
上記4社の比較は下記記事にて。
旭化成の売上推移と事業構成
旭化成の利益率は5年単位で見ても8~10%近くとなり、高収益の状態で安定しています。
化学系の方が配属される可能性の高いマテリアル部門もしっかり利益貢献しています。
もう少し分野別で詳細をみていきます。
マテリアル事業は基盤マテリアル・パフォーマンスプロダクツ・スペシャリティソリューションの三分野に分かれており、それぞれ営業利益における構成比は同程度の水準です。
それぞれ、営業利益率は7.9, 7.7, 9.6%となっており、いずれも高収益です。
一般的に利益率の低い基礎的な素材でも高収益という点が特徴!
旭化成レポート2020によると、マテリアル領域の主な製品は下記の通りです。
一般的に知名度があるのはサランラップですね。
触媒・ポリマー・繊維・膜・化合物半導体といった多様なコア技術を保有し、多岐にわたる製品を有しています。
リチウムイオン電池用のセパレータは生産能力を増強しており、2025年度には2021年度の2倍のキャパシティをもつ計画です。
旭化成のマテリアル事業領域: 化学系が配属されるならここ!
①基盤マテリアル事業
苛性ソーダ、塩素、アクリロニトリル、スチレンモノマー、MMA、アジピン酸、ポリエチレン、ポリスチレンなどの石油化学製品を展開しています。
主力製品はMMAやアクリロニトリルです。
②パフォーマンスプロダクツ事業
繊維素材、高機能樹脂、合成ゴムS-SBR、サランラップなどもこのセグメントです。
繊維は旭化成の祖業ですが、繊維事業がメインの東レと比較する売上は非常に小規模と予想されます。
すでに旭化成は「繊維メーカー」というより総合化学メーカーという位置づけになっていますね。
東レについてはこちら
③スペシャルティソリューション事業
リチウムイオン電池向けのセパレータや各種電子・機能製品、イオン交換膜法電解プロセス、医薬や食品向けの添加剤、自動車・電子機器などのコーティング原料、産業化薬や金属加工などを提供しています。
営業利益率9.6%の高付加価値なセグメントです。
感光性ドライフィルムが主力製品として紹介されており、今後ますますの成長が期待されます。
DIという微細配線形成可能な領域は昭和電工マテリアルズとともに世界シェアの大半を占めるよ!
プリント基板やパッケージ基板を作るのに欠かせない製品!
研究開発の特徴
研究開発戦略によると、研究開発費のうち40%がマテリアル部門で、39%がヘルスケア部門領域となっています。
まだまだ売上規模の小さいヘルスケア領域ですが、今後注力していく領域としてとらえていることがわかりますね。
2019年度の研究開発費は910億円で、中規模の企業の売上高程度の水準があることも驚きです。
旭化成は事業に紐づく領域以外では研究拠点は非開示となっています。
旭化成の採用(新卒・中途)
旭化成では中途社員の現在募集中の求人案件を自社のWebサイト上で公開しています。
規模の大きい企業ならではですね。
また、求人がない場合もキャリアを登録できる制度となっており、長期目線で転職を考えている方は是非登録してみては。キャリアエントリーという制度です。
新卒採用も自社の【旭化成】新卒採用マイページ2022から登録できます。
人気企業なので難易度は非常に高いですが、是非チャレンジしてみては。
企業規模が大きいから採用は自社ページ上からおこなっているね!
新卒の場合、通常早期の場合はインターンの検討、二次募集移行はOfferBoxのようなオファー型の就職サイトも検討することになりますね。
2022年卒採用では旭化成もOfferBoxに参加していることは確認できています。
詳しくは下記でも解説しています。
インターンシップ参加体験談・志望動機【化学メーカー事例・理系就活】
理系もオファー型就活サイトは活用すべきか?化学メーカーの求人もある?
旭化成に拘らず転職を検討するのであれば、転職エージェントを活用するのが王道ですね。仕事を頑張りつつ、旭化成のキャリアエントリーを待つという二本立てであれば活用の機会はなさそうです。
私はいくつかエージェントを使ってみましたが、JAC Recruitmentのエージェントの方々が化学業界への理解度が高くオススメできると思います。求人数多く、自分でもしっかり探したい方はリクルートエージェントやDODAといったエージェントも良いのではと思います。
転職エージェントについて詳しく知りたい方は下記に詳しく書いてあります。
化学系おすすめ転職エージェント・サイト6選|研究開発経験者目線
旭化成の就職難易度は?
旭化成は人気企業のため難易度が非常に高いです。
5ちゃんねるの就職偏差値は化学メーカーの中でも上位5位以内に入るとされています。
知名度の高い大企業だと難易度は当然高いよ!
旭化成の年収
有価証券報告書によると、2020年3月時点での旭化成の年収状況は下記の通りでした。
従業員数 8,253人(単体)
平均年齢 41.8歳
平均勤続年数 15.1年
平均年間給与 7,691,021円
一般的な大手優良化学メーカー並みだね!
製造部門の方も含むから、総合職はもう少し高水準の給与体系と予想しているよ!
旭化成はどんな会社か?~まとめ~
いかがでしたでしょうか。
どの事業も高収益であり、非常に優良な会社であることが分かりました。
幅広い挑戦がしたい方は他の総合化学メーカー含めて志望してみては!
- 旭化成の利益率は5年単位で見ても8~10%近くとなり、高収益の状態で安定
- 住宅事業に強みを持つのが財閥系化学メーカーとは大きく異なる点
- マテリアル事業は基盤マテリアル・パフォーマンスプロダクツ・スペシャリティソリューションの三分野。どの分野もバランスよく利益貢献。
他の総合化学メーカーも気になる方は総合化学メーカー4選(三菱・三井・住友・旭化成)もご参照いただければ。
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